今年も5月上旬に、当財団は9泊10日にわたりミャンマーを訪問しました。
心に傷を持っているこどもたちや病気や障害のあるこどもたちにも夢を見てもらいたい、未来の扉をあける小さなきっかけになってくれたらと願い「未来の扉 ~Song & Dance Show~」公演を主催しました。
戸沢暢美がまだ見ぬ子ども達に遺したメッセージ「未来の扉」が2018年公演のメインテーマとなっていました。戸沢暢美の想いをのせ、海を越えてミャンマーの子ども達にも届けてまいりました。
同行いただいたのは元劇団四季のミュージカル俳優たちを中心としたNPO法人心魂プロジェクト。
難病のため病院で暮らす子供たち、学校にも行けない、ましてやミュージカルなど
観たこともない子供たちに、生のパフォーマンスを届けようと日本全国をまわる彼らを、
2015年頃から当財団も支援させていただいています。
プロの歌と踊りとミュージカルをミャンマーの子どもたちにも楽しんでもらいたい!
その想いから、パフォーマーの皆さん6名と一緒に6つの施設をまわり、計10回公演いたしました。
※心魂プロジェクトに関する記事はこちら
※NPO法人心魂プロジェクト https://www.cocorodama.com/
【ツアー名】 「未来の扉 ~Song&Dance Show~」ミャンマーツアー
【開催場所】 ミャンマー、ヤンゴン市内各施設 ※5/7のみ市外、車で片道1.5~2.5h
【公演日時】
4月29日 児童養育施設ドリームトレイン 13:00開場 開演13:30
4月30日 国立ヤンゴン子ども病院 2公演
5月02日 国立障がい児学校(2公演開催) 13:00開場 開演13:30
15:30開場 開演16:30
5月03日 国立ヤンキン子ども病院 3公演
5月04日 翌日公演のリハーサル
5月05日 ヤンゴン日本人学校 13:00開場 開演13:30
5月07日 児童養育施設フルムーン 14:00開場 開演14:30
【公演準備】
ミャンマーでの公演は、停電や機械トラブルが懸念される環境下でした。今出来る最高の環境を出来る限り子供たちに届けられるよう、日本から大量の機材(スピーカー2台、照明4種類8個、照明の三脚、シンセサイザー、ミニドラム、変圧器、バッテリー等)を用意し、持ち込みました。現地でも各種機材をレンタルしました。
さらにミャンマーは炎天下。連日の心合わせの打ち合わせ、セッティング、リハーサル、本番だけでも大変な労力ですので、大量の荷物との移動で体力を消耗しすぎないよう、バスを貸し切り手配してのツアーとなりました。
<バスでの移動>
<ミーティング風景>
【4月29日 児童養護施設ドリームトレイン】
去年に引き継き、NPO法人ジャパンハートが運営している養護施設ドリームトレインで公演を行いました。
両親と住めない子ども170名が暮らしている養護施設です。
施設に到着するやいなや、待ちきれない子どもたちが門の外まで出迎えてくれました。
目が合うと2017年に歌った歌を口ずさんでくれたり、ゲームやったね!とジェスチャーで伝えてくれたり、持ち込んだ重い機材を次々と運んでくれたり。
温かな雰囲気はもうすでに出来上がっていました。
今日はクーラーついていない場所での公演。昨日まで20℃の日本から一気に40℃近い場所での公演です。
体調を気づかってウエルカムドリンクをいただきリハーサルとなりました。
実はこのゆったりと見えるお茶のみの時間中も、窓越しにたくさんのこどもたちが覗いてくれていました。こどもたちの想いに答えたい!急遽プログラム曲が変更となりました。「あの曲やりましょう」こどもたちが口ずさんでいた曲「ババイエット」でした。
始まりと共に吸い込まれるように集中し静寂が訪れました。
心と魂を届ける歌と踊り、大人もこどもたちも会場が一気にまじわりました。彼らの歓声やどよめき・・・反応は生きる喜びそのものでした。
アンサーソングを歌ってくれました。歌は天にも届く祈りのようで、言葉や人種を超え心と心が結ばれた瞬間でした。
【4月30日 国立ヤンゴン子ども病院】
少数民族を表すデザインが玄関ホールにありました。ミャンマーにこども病院は3つしかありません
遠くの地方から最先端の治療を受けにくるそうです。
時間となり気がつけばこどもたちがたくさん集まってくれました。
電源トラブルで一曲の半分をアカペラ、ピアニカ、ドラム、ダンスでパフォーマンスしましたが、皆が騒ぐ事なく、なんとか助け合えないかと手拍子が沸き上がりました。
『 がんばれ~ 』と拍手とエネルギーを送り続けてくれる子ども達。逆にものすごいパワーを持った、一体感の有る時となりました。
ヤンゴンこども病院院長先生より素敵な記念品をいただきました。
【4月30日 国立ヤンゴンこども病院 病棟 プレイルーム公演】
今年は出来るだけこどもたちに近い場所でということで、外科病棟プレイルームへお邪魔しました。
仕切りなどはなく、ただ広い部屋にこどもたちのベットがひしめきあっています。
6人のパフォーマーが、繰り出す世界が、見ている人を魅了し、暑さと情熱で心をわしづかみにされ釘付け状態。相互作用でアドリブやその人らしさが溢れ出ます。
最後の歌はみんなで歌いました。歌詞や言葉の意味が分からない日本の歌を、ミャンマーのこどもたちが、言葉ではない「何か」を受け取ろうとしていました。
最後の最後まで部屋に戻らず、「よかった」「すてきだった」「感動した」と話しかけ、目を潤ませていたお母さんたちが見送ってくれました。
患児のご家族は、宿泊施設ではなく軒下で生活している姿を見かけました。
本当に厳しい環境下です。
でもミャンマーのこどもたちの笑顔は「幸せかどうかを決めるのはあなた次第だよ。」と教えてくれました。
【5月2日 国立肢体不自由児、障害児学校】
障害児学校はミャンマーに1つしかない学校で、ミャンマーの療育の最先端の現場です。
武術パフォーマーのスペース、ドラムの位置、ピアノの位置、照明、音響。
今日もしっかり仕込みます。
1回目の公演が始まります。最前列には耳の不自由なこどもたちが座っていました。
光るボールに夢中なこどもたち、言葉は必要ありませんでした。
キラキラ光る照明に、眩しいダンスこどもたちの声援や歓声が、ますますキラキラな世界を創っていきます。
【5月2日 国立肢体不自由児、障害児学校2回目の公演】
パフォーマーが「未来の扉」をこどもたちに語りかけます。こどもたちは日本語の訳詩を見ながら歌に聞き入っていました。
「自分のことを大好きですか?」
ミャンマー公演で、心魂プロジェクト代表の寺田さんが毎回この質問をします。
「当然のことをなぜ聞くの?」ピーンとあがる手が誇らしさを語っています。
養護施設、病院、ここ障害児学校でもそうでした。
校長先生は最初から最後までずっとにこにこ温かく見守ってくださいました。
指導の先生方、その他の皆さんも、こどもたちの接し方がとても丁寧でした。
【5月3日 国立ヤンキン子ども病院】
今年もこの場所に巡り会えた事に感謝しながら病院に入りました。
こちらは、公演のためにクーラーを付けていただくなど、たくさんのご尽力があって再び来ることのできたこども病院です。本当にありがとうございます。
さあ、いつものようにセティング開始です。
これはショーのはじまる前。
ふわりふわりと色の変化するボールにみんなで息を吹き込んでゆくところ。ひとりが目を輝かせて吹いてくれて、みんなが虜になった遊び。
沢山の優しくて温かい息吹を手のひらに受け、パフォーマーはますます輝きを放っていきます。
さあ、ショーの始まりです。
ホールでの1時間の公演は200人位。ミャンマーテレビも入って、こどもたちが、どんどん前へ。ノリノリの笑顔を沢山見せてくれました。
ヤンキンこども病院院長先生からお礼をいただき、さらに、栄養満点のお弁当で労をねぎらっていただきました。
【小児病棟前踊り場】
ここが
こんな風景になりました。
6人6色の好きなことを極めた人たちの演技が、見ている人の心に火を灯しました。
最後の曲を、1人また1人、こどもたちも演者に混ざって大きな円陣となり、生き生きと歌い出します。それを観ているお母さんたちが、なんとも言えない表情で今この時を喜んでいました。
笑顔が希望の光を照らしていました。
【ヤンキンこども病院心臓病病棟渡り廊下】
この病棟の廊下が
これです。
パフォーマーは、何もかもが限界を超えてもなお、こどもたちからのパワーで突き動かされていました。
演奏中も人がどんどん集まってきました。
中庭まで。響き渡る音楽、歌声。まるで大劇場にいるかのようでした。
辛いことを忘れる夢のような時間。
病院のみんなに何かが届いていることを実感しました。病院は病気を治すだけの場所じゃありません。
笑っていいんだよね。生きているね。大好きだよ。
こどもたちと笑うお母さんお父さんの、こどもへの愛が溢れていました。
【5月5日 ミャンマー日本人学校 一般公演】
体育館に設けられたステージ。小さい子達は特設の体育マットの最前線にずらり。
子供達に本物を伝えたいと願うお父さん、お母さん達。異国の単身赴任で踏ん張っているビジネスマン、ビジネスウーマン。みな、日本から遠く離れて、日本を思い暮らしている日々。
キラキラした舞台は夢のような時間でした。
「泣きすぎて、なんだか訳が分からないです。」
「ありがとうございました。遠くまで来てくださり、本当にありがとうございました。」
「ドラムかっこよかった」
「サインください」
「また、来て下さい」
「明日の養護施設公演は観に行けるのでしょうか?」
「夢のような時間でした」
「たのしかったー!また会いたいです。」閉会のお見送りもみな名残り惜しく、あちらこちらで「ありがとう」が飛び交い、感動の輪が幾重にも広がりました。
【5月7日 児童養育施設フルムーン】
内戦で親を無くした子ども達を受け入れることから始まった養護施設。
市内から二時間半、ガタガタの道を通りながら向かう養護施設には冷房の会場は有りません。国からの支援は、1年に一人800円しか出ません。
とても貧しい孤児院ですが、それでも校長先生は、数日前も国境に赴き引き取るべき子どもはいないか回ってきたそうです。
ステージが始まると、心魂プロジェクトの鬼気迫るパワーに圧倒され、歌とダンスに子ども達は魅了されました。それだけでは終わらず、息をのむ武術に驚きの声をあげ、美しい演奏に歓声が沸きます。
たくましいミャンマーの人々は悲しみの沼に溺れない、強さを持っていました。
昨年に引き続き訪れたミャンマー。そこで生活をするミャンマーの方々と、夢中に何かに向かう時の輝きを今年も共有させていただき、様々な場面で、一緒に今を生きている喜びを分かち合うことができました。
子どもたちの笑顔がやまない時間。
戸沢財団では、心魂プロジェクトの素晴らしい活動を今後も応援していきたいと思います。
☆☆☆ ドリームトレインの子ども達より メッセージをいただきました ☆☆☆
Htun Te Hla
Dream Train に来てくれてありがとうございました。踊ってくれてありがとうございました。幸せをくれてありがとうございました。僕たちを応援する言葉をくれてありがとうございました。またDream Trainに来て下さいね。
Small Ley
踊りに来てくれてありがとうございました。みんなとても気に入っていました。またDream Trainに来て下さいね。ダンスを見ることができて、とても幸せでした。みなさん上手でした。そして、みなさんとても親切でした。この手紙でお礼をお伝えできることを嬉しく思います。もう一度、Dream Trainに来てくれる日を待っています。
Thiri Aung
忙しい中、Dream Trainで公演してくれてありがとうございました。面白くて、楽しいことを一緒にしてくれてありがとうございました。心魂プロジェクトが、もっともっと盛り上がっていくようにお祈りしています。踊ることはとても面白いです。Dream Trainに遊びに来て下さい。いつでもいらっしゃってください。ミャンマーは暑いのに、Dream Train に来てくれて、ダンスを披露してくれて、とても嬉しかったです。皆さんのことを思い出しています。もう一度来て下さい。皆さんありがとうございました。またね。
Nar Phauu
もう一度Dream Trainに来てくれてありがとうございました。「また来て下さい!」と言いたいです。去年よりも、もっともっと素敵な踊りでした。去年の踊りもとても良かったです。一緒に踊ってくれて、ありがとうございました。これからも、心魂プロジェクトがもっと盛り上がっていきますように。1人ずつのパフォーマンスがとても面白くて、大好きでした。Dream Trainにまた来て下さい。心魂プロジェクトの皆さんを思い出しています。Ever Smile❤
Daw Kar
また今年も公演が観られると思っていなかったので、とても嬉しかったです。一緒に踊りを踊れたことが良かったです。ありがとうございました。心魂プロジェクトがもっともっと活躍できるようにお祈りしています。一緒に歌を歌えて楽しかったです。一人ずつのパフォーマンスがとても良かったです。今回のミャンマー公演の最初にDream Trainに来てくれてありがとうございました。お姉さん達がとてもきれいでした。皆さんのことをいつも思い出しています。
Nar Kyo & Buu Son
この手紙でお礼をお伝えできることを嬉しく思います。ダンスを見たり、歌をまた聴いたりすることができて嬉しかったです。私たちを応援してくれてありがとうございました。世界中にいる子ども達もあなた達のダンスを気に入ると思います。日本の歌やダンスを鑑賞できたことがとても嬉しかったです。もう一度遊びに来て欲しいです。
Small Ni
皆さんに出会えてとても嬉しかったです。とても楽しかったです。私は歌が好きです。私も有名な歌手になりたいです。心魂プロジェクトのみなさん、私たちと一緒にパフォーマンスをしてくれてありがとうございました。去年も今年も見ることができて嬉しかったです。
Buu Phal
こんにちは。お忙しい中、ドリームトレインに来て、歌やダンスを披露してくれてありがとうございました。またお会いしたいです。一緒に歌ったり踊ったりしてくれてありがとうございました。心魂プロジェクトがもっと盛り上がっていくように祈っています。皆さんが来てくれた日は1日中楽しかったです。Dream Trainに遊びに来て下さい。いつで0Dream Trainの子どもたちを代表してお礼を言います。私たちが今まで出会ったことのない、見たことのないパフォーマンスをしてくれて、ありがとうございました。また来て下さることを願っています。これからも世界中で活躍できるようにお祈りしています。鑑賞中、とても楽しかったです。ありがとうございました。
Ya Pharr
私は心魂プロジェクトの皆さんのことが大好きです。これからももっと活躍できるようにお祈りしています。「Dream Trainにまた来て下さい」と伝えたいです。皆さん、ありがとうございました。また会いたいです。
<日本人スタッフより>
今回、心魂の皆さまが全身で表現されていたメッセージ「自分を信じて進むこと」を受け取り、子どもたちの表現の幅・可能性の幅がよりいっそう広がったように感じられ、今後の成長を見守ることのワクワクが止まりません。