ライオンの隠れ家への物資支援 2017年10月

発達障がいのご両親が、6人の子どもを抱えて、アパートで暮らしていました。ご両親は、その特性のために片付けができないだけでなく、定職にもつけないまま、生活は困窮していました。子どもたちは食べるものも満足に食べられず、着るものも汚れていました。

栄養失調と不衛生な環境のため、6人の子どもたちの皮膚はただれ、化膿し、お医者さんからもこのままでは命に関わると指摘がありました。
見かねたNPO法人が、この親子を引き離すことなくサポートするために彼らを引き取り、生活指導を行う居場所をつくり、一緒にこの問題の解決すべく家族ごと引き取ったとのこと。

本来なら、児童相談所が子ども達を保護すべき事例だと思うのですが、ご両親が子どもと離れたくないとこれを拒否し、それ以上、行政からの保護を受けることはなかったのです。

こういった状況を知り、弊財団では、保護したNPO法人を通じて着の身着のまま保護された子ども達への生活用品や学校用品を送りました。少しでも傷ついた子どもの力になりたいと願い、彼らに明るい未来の道が開かれるよう祈りを込めて。

まずは衣類関連。成長にあった衣服をそろえるのは兄弟姉妹が2~3人いるご家庭でも労力を要するもの。ましては6名分、年齢も性別もちがう全員のサイズにあう物を保護した先の方が日々のお世話をしながら準備するのは難しかったと思います。
毎日着るパジャマ。下着上下の洗い替え。これから寒くなる時期でしたので、ベーシックなカーディガンもおくりました。
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雨具一式、ランドセル、上履き入れ、幼稚園スモック
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学校で使うピアニカや彫刻刀、リコーダー、教科書、習字セット、色鉛筆などの文具
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後日、子ども達から可愛らしいお礼の手紙と動画がとどきました。
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どんなに劣悪な状況での生活であっても、子どもは親のことが大好きです。
できることなら、親と暮らした方がいいに決まっていますが、子ども達の安全と未来を守るためには必要な緊急保護でした。

この日本で、私たちの暮らすすぐ隣に、そういう子どもたちがいること。
格差社会と言われていますが、一般的にはなかなか実感できないとことだと思います。

子ども達がどのような環境にいても適切な教育を受けて、将来自立できることを心から願ってやみません。
虐待のない世の中に近づくために弊財団でできること。子ども達の未来のために、今後も続けていきたいと思っています。

『ファシリティドッグ・ベイリーの後任犬アニーの準備と導入』への支援

2010年に日本初のファシリティドッグとして、活動をしてきたベイリー。高齢化による衰えが見られることから、10歳の誕生日を目安に引退を計画することになりました。

日本では、まだまだあまり広くは知られていない『ファシリティドッグ』ですが、ベイリーが活動している神奈川県立こども医療センターでは、今やファシリティドッグは欠かせない存在になっており、ベイリーの後任犬が必要となりました。

そこで、戸沢財団は、後任犬アニーの準備と導入にかかる費用を支援いたしました。

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ファシリティドッグとは、医療スタッフとして病院に常勤する犬のこと。
治療に積極的に介入するという点が大きな特徴となります。

病院は、無機質で緊張感に満ちていて、子どもはもちろん、大人でも力の入る場所。
犬にとっても緊張する場所です。
そのため、こうした場所でも一切緊張せず、いつでも普段通り穏やかでいられる気質を持つ犬だけがファシリティドッグになることができます。

ファシリティドッグとして認められるまでには専門的なトレーニングを受け、実際の活動では、医療従事者かつ専門的な訓練を受けたハンドラー(人間)と共に行動することとなります。

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神奈川県立こども医療センターでは、検査や採血を怖がる子どもに付き添ったり、場合によっては集中治療室や手術室にも入り、寄り添うことで安心感を与えます。

子どもの不安な気持ちや恐怖感を一瞬にして感じ取り、人間にはない不思議なパワーで子どもたちの心を包み込み、驚くほど子どもたちの表情は和らぐのです。

『ベイリーが一緒に行ってくれるから手術も大丈夫。』
『ベイリーが一緒なら痛い検査も頑張る!』
現在、活動するベイリーは子どもたちにとってかけがえのない存在となっています。

後任犬であるアニーも優れた気質を持っており、専門的なトレーニングを受け、無事に就任式を終えました。
今後は、ベイリー同様、入院する子どもたちとそのご家族の心を癒してくれることと思います。

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戸沢財団が今回の費用を支援したことにより、
より一層、ファシリティドッグの存在が広く知られること、そして何よりも、治療に励むたくさんの子どもたちが明るく前向きに頑張ろうという気持ちになってくれたら・・・と、心より願っています。