ヤンゴンにある聾学校「Mary Chapman」。
その生徒たちが2016年12月4日から10日までクアラルンプールで行われるアセアン初のデフサッカー(ろう者サッカー)大会『1st ASEAN Deaf Football Championship』に、ミャンマー代表として出場することとなりました。
「Mary Chapman」とアカデミーパートナー契約を結び、サッカーに関する指導などのサポートを行っているアルビレックス新潟ミャンマーより、この大会への支援のお話をいただきました。
アルビレックス新潟ミャンマーは、ヤンゴンでサッカースクールを開催しています。そして、「Mary Chapman」の他、児童養護施設などミャンマー各地でサッカークリニックも行っています。
ミャンマーでサッカーは人気ナンバーワンのスポーツです!
【アルビレックス新潟ミャンマーサッカースクール オフィシャルサイト】
http://www.albirex.com.sg/myanmar/
ミャンマーではまだ障碍者への理解が乏しく、「Mary Chapman」の子供達は危険も伴うため、気軽に学校の敷地から外に出るのも一苦労な現状です。
そのような環境の中、今回の大会は「Mary Chapman」1920年創立以来初めて、在学生が海外へ行く歴史的イベントとなります。アセアン各国の聴覚障害者が集う大会に参加しサッカーを通じて子供達に様々な世界を見せてあげたい、同じように障害を持ちながサッカーに取り組む人たちと触れ合い学んでほしいという思いから当財団からも支援をすることとなりました。
大会1日目。
卒業生含め在学生で海外へ行った事例がなく、ナショナルIDの取得、パスポート取得、航空券取得など全て初めての試みで、出発までには多くの難関があったそうです。
また出発の空港でも手続きに時間がかかり、空港カウンターにチェックインし搭乗ゲートまで2時間もかかりましたが、無事すべての難関を乗り越え、約3時間のフライトで大会の行われるマレーシアのクアラプンプールへ到着しました。
これから一週間滞在することとなるホステルへチェックイン。
今大会のスタッフはほとんどがボランティア、それもデフの方々でした。
ホステルでは18時30分から記者会見が行われ、集まったマレーシアのたくさんのメディアの前で各国の監督が意気込みを話します。
大会2日目。
この日はミャンマーチームの試合がなかったため、ホステルの敷地内でトレーニングと戦術確認をおこないました。
大会3日目。
ついに迎えた決戦の日。
国際大会初陣。チーム全員で円陣を組み、全力で戦おう!と気合を入れ試合に臨みます。
FIFAのフェアプレーフラッグのもと入場し、ミャンマー代表VSベトナム代表の試合がキックオフ。
なんと開始2分、ミャンマーチームのシュートが決まり先制点!
いきなりの先制点にピッチの選手もベンチの選手も大興奮でした。
その得点が相手チームの闘志に火をつけることとなり、その後失点を重ね、前半30分に1点取り返しましたが、残念ながら敗戦となってしまいました。
大会4日目。
この日の相手は強豪マレーシア代表です。
選手たちは昨日の敗戦を引きずることなく、闘志あふれるプレーで強豪マレーシア代表にむかい、闘いました。
攻め込まれる一方的な展開の中、決定的なチャンスもありましたが得点に結びつかず、敗戦となってしまいました。しかしながら、選手たちは90分間最後まであきらめることなく戦い抜きました。
今回の大会は、アセアン各国代表のデフサッカーチームが出場ということで、年齢別のくくりがありません。ミャンマーには大人チームのデフサッカーチームがないため、生徒たちが代表として素晴らしい頑張りを見せてくれたと思います。
大会5日目。
予選敗退した翌日はリラックスのためマレーシアに来て初めてのオフとなりました。
この日は同じく予選敗退したカンボジア、ラオスチームと一緒にクアラルンプールの市内観光をしました。
大会6日目。
この日は大会最終日です。閉会式が行われるということで、ミャンマーチームはミャンマーの民族衣装ロンジーで参加しました。
他に民族衣装でそろえているチームはなく、他チームからも「すばらしい!」と大絶賛でした。
今回参加した全チームにも表彰が行われました。また、ミャンマーチームには今回の主催国へ対して、プレゼントを渡す場もいただきました。
大会7日目。
1週間滞在したマレーシアからミャンマーに帰国する日です。
マレーシアの空港で、ミャンマーにはないマクドナルドで昼食をとり、21時、無事Mary Chapmanへと帰りました。
帰国の翌日。
財団理事が大会の慰労会を開き、子供たちをご招待しました。
理事と共にミャンマー視察に同行していた心魂プロジェクトさんから、子供たちへ歌と踊りのプレゼント!耳の聴こえない彼らもプロのパフォーマンスを楽しんでくれました。
大役を務めてくれたチームのキャプテンとの一枚。大会参加者にはエンブレムが贈られました。
今回は2敗予選敗退と残念な結果となりましたが、Mary Chapmanの生徒たちにとって、この先の人生において大きな希望を持てる素晴らしい体験となったのではないでしょうか。
そのような体験の手助けをできましたこと、また、ミャンマー初の歴史的イベントに力添えできましたことを財団としても大変うれしく思います。